宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

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武漢肺炎とグローバリズムの破綻 -「ヒト」大量移動の危険ー

グローバリゼーションとは、「人」、「物」、「金」が、国境を越え大量に移動することです。この50年来、人々は、これを最もいいこととして、強力に推進してきました。アメリカ、EU、日本、中国、世界中が「人」、「物」、「金」のより多くの移動を、何の疑問も持たず推し進めました。






しかし、今、世界は、「人」、「物」、「金」の移動が突然ストップする事態に追い込まれました。つい2か月前ですら、想像もしなかった現実に直面しています。






武漢肺炎こそ、グローバル化された世界システムに乗って感染されたものです。発祥地中国と「人」の移動が活発だった国に多くの感染者があらわれ、次々に各国に拡大しています。





極少数の者が暴利を貪り、多くの人々が貧困に陥るという、「物」、「金」の大量移動によって起こる、経済的グローバリズムの問題点は多く指摘されてきました。一方、「人」の大量移動である難民問題は、世界がかかえる大問題です。しかし、難民問題は、目に見えるもので、他の人々の身体や健康に脅威は与えません。






ところが、人の大量移動がかかえる、別の、凄まじい脅威が明らかになりました。「人」の移動によってもたらされた武漢肺炎は、いまだ正体不明で、人を通じ、目に見えないウイルスが、直接、私たちの身体、健康を襲います。その影響も深刻なうえ、生活、教育、旅行、生産、貿易など、社会のあらゆる分野におよびます。






武漢肺炎ウイルス問題は、解決されたとしても、以前の世界が戻ってくることはないでしょう。人々が「人」の移動の恐ろしさに身に染みたからです。2020年、人類は「人」の大量移動にともなう、途轍もない難題を突きつけられました。







ですから、この武漢肺炎感染が、グローバリズム清算に与える影響は計り知れません。2016年に決定したイギリスのEU離脱、2017年のトランプ大統領就任、そして、この武漢肺炎が、グローバリズム終焉を告げる第3の世界史的事件になるでしょう。この感染症の恐怖は、確実に人類の価値観も変えてゆきます。反グローバリズムなど、歯牙にもかけなかった、政治家、経済人、知識人も、嫌でも再考を迫られます。「人」、「物」、「金」の大量移動が、人間の繁栄と幸福をもたらすという、グローバリズム神話は、武漢肺炎とともに破綻したのです。(永田)