宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

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コロナ後は「日本の時代」!-日本の覚醒はアジアの大国としての責任自覚から-

1・フリードマンの予測「2020年・中国は張り子の虎」



ジョージ・フリードマン博士は、日本ではさほど有名ではありませんが、アメリカでは、国家戦略を論じる時、彼の予測は必ず考慮されるほど評価の高い学者です。博士の未来予測の的中率は80パーセントといわれ、時に、21世紀のノストラダムスとも称されます。





フリードマン博士は、2009年に『100年予測』を著しました。その5章は「2020の中国 -張り子の虎-」というタイトルです。当時、アメリカを震源地とするリーマンショックが世界を襲い、その克服に中国の果敢な財政出動が貢献しました。まさに、アメリカに暗雲が立ちこめ、中国が浮上する時代が始まろうとしていました。





当時の情勢では、11年後の2020年に、中国が「張り子の虎」になるなどという予測は、まったく見当違いなものに思われました。同2009年にオバマ政権が立ち、8年ものあいだ、無責任に中国を優遇しました。その結果、共産中国は軍事、経済において飛躍的に発展し、「凶暴な虎」になってしまいました。その後、トランプ政権が立ち、米中貿易戦争、そして現在の、武漢ウイルス政局に至ります。フリードマン博士の中国認識は、以下のようなものです。





中国にとっての問題は、政治的な問題である。中国を一つに結びつけているものは、イデオロギーではなく、金だ。景気が悪化して資金の流入が止まれば、銀行システムが収縮するだけでなく、中国社会の骨組み全体が揺らぐだろう。中国では、忠誠は金で買うか、強制するものだ。金がないなら強制するしかない。景気低迷時には企業倒産や失業が多発するため、一般に社会不安が起こる。貧困が広く存在し失業が蔓延する国に、景気悪化の圧力が加われば、政情不安が広がる。




「中国では、忠誠は金で買うか、強制するものだ。金がないなら強制するしかない」、まさに共産中国を的確に表現しました。そして、2020年の中国は「貧困が広く存在し失業が蔓延する国に、景気悪化の圧力が加われば、政情不安が広がる」状況にあります。5章の最後に、〈大方の予想に反して、中国が世界的国家となることはない〉、〈中国の最もありそうなシナリオは、日本をはじめとする強国が中国に経済進出を活発化させるうちに、中央政府が力を失い、分裂する〉という、「世界国家にならず分裂する」未来像を示しました。





よく考えて見ると、昨年の2019年の時点では、すでに米中貿易戦争は始まっていましたが、さすがに、中国を「張り子の虎」と評することは言い過ぎという感がありました。しかし、2020年になり、世界が武漢ウイルス感染下にある現在、中国は、途方もない責任を世界から追及されて、賠償を要求される「張り子の虎」になる運命に直面しています。今や、中国が、世界的国家から地域国家に転落し、共産党は力を失い分裂すると予測しても、決して言い過ぎではありません。フリードマン博士の予測は見事に的中したのです。




2.2020年代、軍事力を増強する日本


一方、2020年の日本に対して、以下のように予測しました。



日本が2020年代になっても、まだ遠慮がちな平和主義国のままでいるとは考えがたい。もちろん、日本はできるだけ長くこのスタンスを維持するだろう。第2次世界大戦時の恐怖が今も国民的記憶として長く残る日本は軍事対決の意思を持たない。その一方で、日本にとって現在の平和主義は、永遠の原理ではなく、適応性のあるツールである。日本の産業、技術基盤をもってすれば、より積極的な軍事方針に転換できるかどうかは、政策転換の問題である。そして今後日本が人口や経済面で重圧を経験することを考えれば、この転換はまず避けられないだろう。




すなわち、2020年に中国が「張り子の虎」になるのとは反対に、日本は、2020年代に、画期的に軍事力を増強する選択をするだろうと予測します。中国は堕ち、日本が上がるのです。




3.武漢ウイルス戦争後、世界は一変する



今、人類を襲う武漢ウイルス感染は、戦争の様相を呈しています。これはまさに第3次世界大戦なのです。世界大戦は国際情勢をドラスティックに変化させます。最も明確な例として、第2次世界大戦を考えて見ましょう。大戦前は、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、ドイツ、イタリア、そして日本などの大国を中心に国際政治が動きましたが、戦後はアメリカを中心とする自由陣営とソ連を中心とする共産陣営が対立する冷戦構造に変わりました。戦前と戦後では世界は一変したのです。





この武漢ウイルス感染が収拾された後は、諸国で、人命と経済に大打撃を与えた中国に責任を問う動きが起こり、中国は孤立するでしょう。世界において、政治的、経済的に「チャイナ・デカップリング〈中国切り離し〉」が進み、中国の勢力は大きく後退します。





中国が転落すれば、残るのは日本です。日本は、アジアから全体主義中国の影響力の残滓を排除し、自由と民主主義を守る役割を果たさなければなりません。しかし、多くの人は日本がそんな国になることはない、と考えるでしょう。今も、日本政府は、諸外国は中国を批判しているのに、中国に気を遣い、まったく何も言えません。安倍首相は、オバマ時代、世界が親中であった時、中国の拡張政策に「力で現状を変えてはならない」、「法に従うべき」と断固として批判していた姿勢をやめ、なぜか最近は親中国的な発言を繰り返しています。日本は、今こそ、世界の先頭に立って中国を批判してもいいはずです。まったく煮え切らない国です。





しかし、日本の外交は常にそうでした。朝鮮王朝時代、政府は、日本の力を借りようとした金玉均が日本に亡命しても、冷遇し、かえって反日的な朝鮮政府のご機嫌ばかり伺っていました。先の大戦の時も、明確な戦略やビジョンもなく、東条英機も最後まで日米開戦に迷っていました。日露戦争の時も、伊藤博文や井上馨は、対露開戦には反対でした。山県有朋が推進し、伊藤や井上を騙し騙し、開戦にこぎつけました。それが日本の外交です。





山県は伊藤に、ロシアに負けたら、外交に巧みな貴兄に頼むと言って戦争を始めましたが、日本は辛うじて勝ちました。世は一変し、大国ロシアに勝った日本は世界の強国になっていました。更に、日露戦争勝利の9年後に勃発した第1次大戦に勝利した日本は、世界5大国の一つに仲間入りを果たしました。




歴史的に日本の外交は、イギリスなどの帝国主義国家や、ナチスドイツ、共産国家のような明確なビジョンがあった訳ではありません。第2次大戦後の日本は、さらに煮え切らない外交を繰り広げてきました。しかし、幸い、日本は分断を逃れ、大混乱することなく発展してきました。キッシンジャーは、こんな日本の外交を「愚かなことをしているのに、不思議に結果が悪くない」と評しました。




4.アジアから日本を見、大国の責任を自覚せよ!



私事ですが、25年間、韓国や台湾に滞在して感じたことは、アジアで日本は、途方もない大国だということです。中国にとっても同じです。日本は、アジアで先駆けて近代化を成し遂げ、日清、日露、第1次大戦に勝利し、第2次大戦に敗北したものの、急速に経済を発展させ、戦前以上の国家になってしまいました。その間に、国内の大混乱を経ませんでした。分断され、或いは、極度の混乱を経たアジア諸国は、日本を、安定のなかで発展した幸福な国と感じ、羨望の念を抱きます。それに対し、台湾や東南アジア諸国のように日本を称賛する国が多いのです。しかしまた、中国や韓国のように批判を繰り返す国もあります。そこには日本に対する激しいコンプレックスと警戒心が存在します。この心理を理解する必要があります。





日本には、反日的なマスコミがあり、中国や韓国の反日姿勢に同調する人々も少なくありません。一方、保守派も、アジア人の目から日本を見つめることができません。中国や韓国にとって日本は「眠れる獅子」なのです。日本が大国であることを自覚し、それにふさわしい軍事力を持つことを怖れます。





と言っても、中・韓に気兼ねして、日本が自己防衛の権利を放棄している亡国憲法をそのままにし、防衛も弱体なものにしていいと言っているのではありません。むしろ、私たちは、アジアの大国としての日本をしっかり自覚し、その国力に応じた責任を果たすべきだと強調したいのです。





中国や韓国が、日本に対しあらぬ批判を繰り返し、おとしめ、北朝鮮は核とミサイルを開発し、日本を脅す。これらはむしろ、日本が国力に見合った防衛力を持たないからです。アジアの安全を脅かしているのは中国と北朝鮮です。アジアでそれに対抗できる国力をもつ国は日本以外ないのです。ですから、日本が防衛力を強化するのは、その国力にふさわしい実力をもち、中国と北朝鮮を牽制する役割を果たすことであり、それがアジアに対する責任なのです。無責任な憲法を維持し、不充分な軍事力しか持たないことは、日本を危険にさらすだけでなく、アジアを危険にさらす愚行なのです。





日本が国防力を増強しても、アジアの多くの国は歓迎します。反対するのは中国、韓国、北朝鮮だけです。日本国民は、自国の安全を考えるだけでなく、日本がアジアの大国であり、国力に応じた責任があるということを自覚しなければなりません。それが、偽りの無責任な平和主義に陥った日本が覚醒する道だと思います。 (永田)