宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

世界−人類−日本、皆が幸福になる知を探究します。

ソ連・チェルノブイリ事故と中国・コロナウィルス〈ソ連邦崩壊の教訓〉

1.チェルノブイリ事故から5年でソ連崩壊


中国の新型コロナウイルス感染と類似した歴史的事件は、旧ソ連で1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故です。この悲劇的事故はソ連と社会主義圏の崩壊を加速させました。事件の3年後の1989年にベルリンの壁が崩壊し、翌年にドイツは統一され民主主義国家に転換し、その1年後、1991年にはソ連邦が崩壊しました。原発事故からソ連崩壊まで、あっという間でした。






1985年にソ連の書記長になったゴルバチョフは、ペレストロイカ(立て直し)をすすめ、就任2年目の86年に、チェルノブイリ原発事故が起きました。ウクライナにあるチェルノブイリ原発の事故が、硬直した共産主義体制の故に、ゴルバチョフのもとに情報がまともに伝えられず、対策が後手にまわり、事態は深刻化し、諸外国から強い非難をうけました。そのため、ゴルバチョフはグラスノースチ(情報公開)の政策を推し進めることになります。これにより多くの情報が公開され、思想面の自由化や、共産党幹部の贅沢と腐敗ぶりなどが暴露され、ソ連崩壊を後押ししました。






チェルノブイリ事故は、共産主義・ソ連に「体制問題」を突き付けたのです。改革が迫られ、改革の過程で、共産主義体制そのものの否定に突き進んでゆき、ソ連は崩壊しました。今、中国で起こっているコロナウイルス感染も、まさに、「共産主義体制」の問題を露呈しています。地方政府は感染を隠蔽し、中央政府は春節まえに対処せず病原菌を中国じゅうに拡散させ、遅すぎる感染都市の封鎖により、むしろ都市内部での感染をまん延させています。






情報公開された民主主義諸国では、公的機関、マスコミ、SNSなどがいち早く異変を伝え、早くから対策を講じられたでしょう。今、世界ではコロナウイルス対策をはじめました。楽観はできませんが、早期に収束させられるのではないかと思います。中国のような深刻な事態にならないのではないでしょうか。





2.ソ連崩壊と中共崩壊のシンクロニシティ―



ウイルス感染問題に対し、こんな硬直し愚かな対応しかできない中国は、34年前にゴルバチョフがはじめたグラスノースチのような、情報公開、自由化推進の改革を進めることが迫られています。改革しなければ、中国共産党政府は、中国国民の抗議や蜂起により、大混乱のなかで倒されるでしょう。ソ連のように改革をすすめ、混乱を最小限に抑えて、共産主義体制を終焉させるべきです。






1985年、ソ連共産党の改革者ゴルバチョフが書記長に就任したことは、2019年の香港における自由革命の進展と歴史のシンクロニシティ―(同時性)をもち、1986年に起こったチェルノブイリ事故は、現在の新型コロナウィルスの猛威に相当するシンクロニシティ―を成しているのではないでしょうか。




今、人々は、コロナウイルスを自分の問題として心配し、対処法の報道があふれています。しかしこれは、そもそも「中国の体制の問題」であることを忘れてはいけません。病気に関心が集中することは中国共産党にとってありがたい傾向ではないでしょうか。私たちは、コロナウイルス問題を、伝染病問題としてだけではなく、もっと重要な、自由と人権を抑圧する体制の問題と捉えることが、正しい歴史認識だと思います。そして、香港と中国国民の自由、民主主義革命のため支援を強化すべきです。(永田)