宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

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台湾で聞いた「陰陽五行地政学」 Coffee Break

 Coffee Break 1編



もう、35年も前、台湾にいたとき、ある老人から面白い話を聞きました。中国には「一貫道」という宗教がありましたが、共産党に迫害され、信者は台湾に逃れました。一貫道は道教系の新宗教で、自然食を奨励することで有名で、台湾には一貫道の信者が経営する自然食の食堂がたくさんあります。





そこで昼食をしていたら、店の老主人が話しかけてくれて、興味深い話を聞きました。これは、「陰陽五行地政学」とも言える内容で、それ以来、国際情勢を判断する上で、私の基本認識になりました。それを紹介します。





まず、中国史の代表的な王朝を挙げます。王朝名と、その王朝が陰陽五行思想、すなわち、火・水・木・金・土の、どの性質を持つかを示します。




秦 = 火
漢 = 水
唐 = 土
宋 = 木
元 = 金
明 = 火
清 = 水



上の王朝の性格と、五行の関係は何となく納得できます。




そして、五行的に




「火・秦」は「・漢」により消され、
「水・漢」は「・唐」に吸い込まれ、
「土・唐」は「・宋」の肥料になり、
「木・宋」は「・元」(金属)によって切られ、
「金・元」は「・明」によって溶かされ、
「火・明」は「・清」によって消されました。






老主人は、これで、中国歴代王朝の興亡史における五行的意味を示してくれました。





老主人の話は、この五行理論を、現在の国際情勢に展開させます。



火 = ASEANなどの南方諸国
水 = ロシア
土 = 中国
木 = 日本
金 = アメリカ



これは、上の国々が、陰陽五行的にどのような性格を持つか示します。



すなわち、日本は木で、土の中国と、水のロシアには有利です。
しかし、金のアメリカと、火の南方諸国には不利です。





南方諸国は火で、木の日本と、金のアメリカには有利です。
しかし、水のロシアと、土の中国には不利です。





ロシアは水で、火の南方諸国と、金のアメリカには有利です。
しかし、土の中国と、木の日本には不利です。





中国は土で、火の南方諸国と、水のロシアには有利です。
しかし、木の日本と、金のアメリカには不利です。





アメリカは金で、土の中国と、木の日本には有利です。
しかし、水のロシアと火の南方諸国には不利です。



以上が、主要国における五行的関係で、それぞれの国家の強弱関係を示します。



この理論によると、木である日本は、土の中国と、水のロシアには有利です。ですから、日清戦争、日露戦争に勝利しました。
しかし、金であるアメリカには敗北しました。中国、ロシアは潜在意識のなかで、日本を怖れているのでしょう。そのため、中国は、アメリカやASEANで反日工作をして、日本を抑えようとしています。






日本は、金であるアメリカ、火であるオーストラリア、インドとともに対中包囲網を強化すべきです。しかし、そもそも、日本は中国に対し優位にある国なのです。ですから、中国に対し、もっと自信をもって、はっきり国益を主張すべきです。そうすれば中国は折れます。茂木外相のような対中弱腰外交は、むしろ中共を力づけるだけです。



金であるアメリカも、土である中国に対し有利です。ですから、中国は、アメリカに強い、水であるロシアと結び、一帯一路政策で、火である南方諸国を巻き込んで、アメリカに対抗しようとしています。しかし、五行的にアメリカは中国に対し有利なので、トランプ45代大統領のように、強い姿勢で臨めば中国は抑えられるのです。バイデンが、オバマ時代のような、無責任は親中政策さえとらなければ、世界の安全は維持できます。



中国に対し有利な日・米が連帯すれば、中共問題は解決できるのです。35年前、台湾の老人から聞いた「陰陽五行地政学」は、中共全体主義に対し、日本やアメリカが、まともな政策さえとれば、世界の自由、民主主義を守れるということを確信させてくれます。

アトムより鬼太郎が残った意味

水木しげるロード


鳥取県の境港には、「水木しげるロード」があります。2015年に亡くなった境港出身のマンガ家、水木しげる氏の、妖怪キャラクターのブロンズ像153体をはじめ、水木しげる記念館や妖怪グッズ専門店などが集まる「異界の通り」です。境港は、妖怪を観光資源にし、全国から多くの見物客が集まる一大テーマパークに変貌しました。





妖怪は、自然のいたるところに霊的存在が潜むと考える、日本人独特の宗教心が生んだものです。外国にはこんな多彩で個性豊かな妖怪はいません。古来より、妖怪は人を喰うような恐ろしい存在と思われてきました。ところが、江戸時代後期に、浮世絵師がユニークで滑稽な妖怪を描くようになり、イメージが一変し、芝居や漫才などでも取り上げられ、妖怪ブームが起こったのです。戦後、巨匠水木しげるが、さらに豊かなキャラクターを生みだし、妖怪をメジャーな存在に押し上げました。





現代の妖怪マニアは、妖怪が存在するなどとは思っていません。妖怪研究家を自認する多田克己氏は、「妖怪にまつわる民間信仰、口承、歴史背景、自然科学は研究できても、肝心の妖怪そのものは研究できません」と指摘します。妖怪はいませんが、妖怪たちを「存在させている」日本独特の妖怪文化は多様性に富み厖大なのです。





京極夏彦氏は、宇宙人と妖怪を比較し、「―まあ宇宙人の場合、〈いないな〉と思っちゃったら終わりでしょう。妖怪はいなくて当然なんだから、強いですよ。だって、妖怪否定論者って会ったことないもん。たとえば、大槻教授だって、妖怪は否定しないと思うよ。まあ、鬼火はプラズマだという主張に対しても〈プラズマのことを妖怪方面では鬼火って言うんですよ〉って返せばいいだけだし」と言っています。





妖怪は癒しキャラ


東日本大震災の年、劇団四季が東北地方でおこなったボランティア演劇巡演のテーマは、「ユタと不思議な仲間たち」です。お父さんをなくし、東京から東北に引っ越してきたユタという転校生が、学友からいじめられ一人悩みます。ユタと友達になり、なぐさめ力づけたのは、妖怪である5人の「座敷わらし」です。この心優しい座敷わらし達は、江戸時代、飢饉のため、生まれてすぐに間引きされ殺された、不幸な子供たちの化身です。






ユタを助けてあげた座敷わらし等は、震災で悲しみに暮れる東北の子供たちもなぐさめ、力を与えたのです。今日、日本人にとって妖怪は恐ろしいものではなく、人間臭く、ユニークで愛嬌がある「癒しキャラ」とも言える存在です。





今は、ロボット技術や人工知能が進歩し、宇宙開発も進んでいます。そんな時代の趨勢を考えると、ロボットや宇宙人など未来系キャラが人気をよび、妖怪は後退すると思うのが自然でしょうが、妖怪ウォッチがヒットするなど、新たな展開を遂げています。21世紀になり、「科学の子」として長くスーパースターの座にあったアトムより、墓場で生まれ、ちゃんちゃんこを着た「妖怪の子」鬼太郎が、何度もテレビでリバイバル放映され、頻繁に私たちの目に触れる現実は、奇異であるとともに驚くべきことです。





科学の発展により、人は安楽な生活を営むようになりましたが、科学のもつ恐ろしい力にも気づきました。また個人の能力を越え、どんどん進歩、変化する社会は、人々から人間性を置き忘れさせます。





現代人は、妖怪という、科学と対極にある「人間臭い」存在を友だちにすることによって、人間性と土着性を取り戻そうとしているようです。今日、日本文化が国際的に注目され発信されていますが、「YO-KAI」が、世界で歓迎される時代が訪れるかも知れません。

ゾルゲ情報と小野寺情報 -情報と国家の運命-

情報と国家の運命


ソ連のスパイ、ゾルゲが、1940年6月の御前会議で、日米開戦を決定したという情報をスターリンに送り、ソ連は大量の対日戦力を対ドイツ戦に向け、ドイツに勝利することができました。これが有名なゾルゲスパイ事件です。






しかし、当時の日本は、国家の運命を左右する、ゾルゲ情報よりはるかに重要な情報を得ていました。その情報を送ったのは、スウェーデン駐在武官、小野寺信です。彼は、全て事前に、①不可侵条約を破りドイツがソ連に攻め込む。②独ソ戦でドイツが負けており、「日米開戦絶対不可なり」という情報を30回も送った。③ヤルタ会談の3か月後にソ連は日ソ中立条約を破り、満州に攻め込むという、驚くべき情報を東京に打電していました。この小野寺情報を取り上げていれば、日本は戦争の勝者になっていたほどの重大情報です。





ところが、この情報を参謀本部は全て無視しました。それをやったのは、80年代、中曽根、全斗煥会談をまとめた、あの瀬島隆三だという説もあります。瀬島が参謀本部の意思決定に強い影響をもつ人物であったことは確かです。彼は満州でソ連軍との交渉を行い、戦後、伊藤忠商事会長となり、政財界のフィクサーになりました。





小野寺情報をめぐる事実は、どんな情報でも、情報それ自体よりも、それを受けとめる者の水準が、はるかに重要であるということを教えます。日本は小野寺情報という最も重要な情報を無視し、アメリカと戦争をはじめました。また、日本に攻め込むことを決めていたスターリンにアメリカとの和平を頼み、戦争の悲劇を拡大し、原爆まで落とされました。




この情報の戦いは、「スパイ・ゾルゲ」対「スパイ・小野寺」でなく、「スターリン」と「日本の参謀」の頭脳の戦いでした。それに、参謀たちは敗れたのです。






情報戦は、敵から取る、敵に取られるという奪い合いというより、情報を分析する人間の判断力がもっと大事なのです。正確な最高機密情報を得ても、その価値が分からず、間違った行動をして敗北する。反対に、周辺情報だけであっても、優れた知性で事実を把握し、的確な行動をとり、勝利することもあります。また、冷酷な情報戦ですが、優れた情報は、意外と、人と人の「信頼」や「友情」から得られます。






下にあげた映像は、35年も前に放映されたNHK特集「日米開戦不可ナリ-ストックホルム小野寺大佐発至急電-」です。この内容からは、情報と国家の運命について多くのことを学ぶことができます。






「日米開戦不可ナリ」|ストックホルム 小野寺大佐発至急電

怪しい宗教と米大統領選の「デマ」

チャンネル桜北海道
小野寺まさる氏に 知っていただきたいこと



1月14日、チャンネル桜北海道の小野寺まさる氏が「怪しい宗教がうごめく米大統領選のデマに騙されるな」というタイトルの動画をあげました。私は、小野寺氏が批判したサンクチャリ教会の信者です。この内容について小野寺氏に苦言を呈さなければなりません。






まず、タイトルの「怪しい宗教がうごめく米大統領選のデマに騙されるな」です。アメリカ大統領選に関する「間違った情報」(小野寺氏は「デマ」と表現)と、いわゆる「怪しい宗教」は、ひとつのこととして論じてはならないのです。





小野寺氏が、唯一、教団名をあげて批判していたサンクチュアリ教会が、いつ、大統領選について、「デマ」を流したのでしょうか。事実無根で、極めて心外です。これこそ正真正銘のデマです。





反対に、小野寺氏が「デマ」を流していると名指したサイトの「BB」、「水間条項TV」、「月刊中国」、特定「個人」のサイトは、宗教団体なのでしょうか。「怪しい宗教がうごめく米大統領選のデマに騙されるな」というタイトルを掲げたら、当然、「デマ」を流すサイトは宗教団体やその信者であると疑われます。大統領選のデマと宗教の関りを自信をもって言うのでしたら、これらのサイトを運営している人々と特定宗教の関りを明確に指摘すべきです。






分かり易く言えば、もし、「怪しい団体がうごめく米大統領選のデマに騙されるな」という動画があったとします。前半でデマを流すサイトをとりあげ、後半で「チャンネル桜北海道」を批判したとします。それを小野寺氏は心静かでいられますか? 「チャンネル桜北海道」はデマなど流していないと抗議するでしょう。一方、怪しい団体とひとつに括られたサイトの運営者も、極めて迷惑で、憤ると思います。






小野寺氏がサンクチュアリ教会を批判するのは自由です。しかし、米大統領選の「デマ」とひとつに絡め論じることは極めて不適切です。ふたつは別の記事であるべきです。偏見による十把一絡げの批判はよくありません。これは「怪しい宗教」と「デマ」が重なり、ダークイメージを増幅できる効果があるでしょうが、それだけ、サイト側、サンクチュアリ側、両者の名誉を大きく傷つけるものになります。





小野寺氏のいう米大統領選の「デマ」について



投票後の、米大統領選の焦点は、バイデン陣営が隠密に行った不正選挙になり、マスコミは不正を暴くトランプ陣営の情報を徹底的に遮断しました。そのため、不正選挙に関わる情報元はSNSサイトになり、そこには間違った情報も多く含まれました。






しかし、知っていただきたいことは、トランプ支持者は小野寺氏があげたサイトだけを見ているわけではありません。篠原常一郎氏の「古是三春チャンネル」、「及川幸久ウイズダムチャンネル」、「張陽チャンネル」、「HARANO TIMES」などのサイトを主に見ています。それは、再生回数の多さを見れば一目瞭然です。トランプ支持者はこれらも見て情報の真偽を判断しています。小野寺さんは、「デマ」を信じる人は「一部」だと言っていますが、少数者をもって、現象を強調するのは喧騒にすぎます。もっとトランプ支持者を信頼すべきではないでしょうか。






また、実際、小野寺氏があげたサイトの数倍多くのサイトが「デマ情報」をあげています。裾野はもっと広いのです。これらをいちいち批判していたらキリがありません。選挙不正は主要メディアが一切報道しないのですから、水面下の動きを探るしかないのです。未確認情報を排除しては、選挙関連情報はどれほど残るでしょうか。





一方、小野寺氏が「デマ」として挙げる具体例は4つあります。



① ペロシ下院議長が逮捕され、国家反逆罪で逮捕され、軍事裁判
 にかけられている。



② ローマ法王が逮捕されている。



③ いずれ、緊急放送がある。




④ トランプ大統領のテキサス州アラモでの覇気のない演説を聞いても、デマサイトを信じる人は、敗北宣言と受け止めず、大統領はまだ諦めていないと言っている。




まず、①と②の、ペロシと法王の逮捕に関しては、人によって受け止め方は違います。ミス情報であると判断する人、また、あり得ることと信じる人もいるでしょう。小野寺氏は、ペロシが現れても逮捕されたという自説を曲げない方に出会い、あきれて、この話をしていると言っていましたが、その方の反応がすべての人の反応ではありません。はっきり言って、この情報を信じた人がどれほどいたでしょうか? これは特殊な人の例です。あえてこれを代表例のように取り上げるのは問題ではないでしょうか。






③ 〈トランプ陣営が緊急放送システムにより真実を伝えるのはデマである〉。マスコミが不正選挙の報道をせず、司法も取り上げないのですから、国民に不正選挙を伝えるのはこの方法しかないのではないでしょうか。そのような意味でこれはあり得る想定だったのではないでしょうか。緊急放送システムによって選挙不正を暴くと考えた人が、それほど異常でしょうか?






④ の〈トランプ大統領のアラモでの演説を聞いても敗北宣言と受け止めないのはおかしい〉。しかし、トランプ大統領は一度も「バイデン」という名をあげず、祝福もしていません。また、ホワイトハウスを去るとき、「いつか何らかの形で戻ってくる」と言いました。明らかに、トランプ大統領は、不正選挙に敗北したと思っていません。トランプ大統領が敗北を認めていないと思うことの、どこが異常なのでしょうか?





また、小野寺氏は、一部の人がとんでもない「デマ」を信じているので、トランプ支持者全体が疑われると言いますが、そもそも、すべてのマスコミが反トランプ宣伝を繰り返し、不正選挙があったなどと言った時点で、とんでもない人間扱いされます。それが、偏向マスコミがつくった現実の世論です。






1月8日、ヤフーニュースで、江川紹子氏が、「選挙不正を言い募るトランプ支持者の〈カルト性〉に警戒を」と題し、トランプ大統領と支持者を批判し、かなり炎上しました。タイトルのごとく、バイデン勝利は不正選挙だと非難するトランプ支持者は「カルト」だと決めつける内容です。江川氏の記事は、小野寺氏が①から④にあげたような言動は指摘していません。江川氏の主張を見てみましょう。






カルト化した集団では、リーダーが選挙での負けを認めない以上、メンバーたちが「正義が敗北する」という「不正義」は受け入れないのは当然だ。 ― 今回の暴動は、何としても投票結果認定の手続きを妨害したいリーダーの意向を、「目的のためには手段を選ばない」やり方で実現したもので、まさにカルト的集団らしい行動と言って差し支えないのではないか。






そういう陰謀論にハマった人たちに事実を伝えても、聞き入れられず、むしろ強い反発を受けたりして、なんとも面倒だ。けれども、そのようなカルト的思考・発想に基づく言葉や情報がどんどん発信され、流布されるに任せておいていいのだろうか。






江川氏は、小野寺氏がいう「デマ」を語る人ゆえにトランプ支持者を疑がっているのではありません。「選挙不正があったと言うトランプ支持者はカルト」と疑がっているのです。小野寺氏も不正選挙があったと思っていないでしょうか?






また、ぜひ、お願いしたいことは、安易に「カルト」という定義不明な用語を使わないでいただきたいことです。「カルト」は最悪のレッテルで、そのうえ、定義が定まらず、誰に対してもレッテル貼りできる悪意に満ちた用語です。例えば、パソコンで、「天皇・カルト」あるいは、「神道・カルト」と検索してみてください。「カルト」という言葉で、天皇、皇室、神道という、日本の尊い存在や価値を盛んに批判しています。10分もせずに、「カルト」が、問題のある用語であることが分かっていただけると思います。





小野寺まさる氏のサンクチュアリ教会に対する誤解



小野寺氏のサンクチュアリ教会批判は、あまりに的外れです。サンクチュアリ教会がおこなっている、アメリカ国民が銃を所持する権利を認めた「合衆国憲法修正第2条」を擁護する運動を、「暴力」を肯定すると決めつけ、アメリカで大問題になっていると批判しました。それでは、サンクチュアリ教会の運動を説明しましょう。






2018年2月28日、パスター・ムーン(文亨進牧師)が主催し、アメリカ・ペンシルベニアのサンクチュアリ教会で、信者がライフルをたずさえ式典を行いました。式典の1か月前、フロリダの高校で銃の乱射事件が起き、アメリカ社会で銃所持に対する批判が高揚していました。そんな時期に、「教会」と「銃」という結びつきで、マスコミが注目し、式典に取材陣が押しかけました。この取材により、創立わずか3年の小さな教会で行われた式典が、アメリカのみならず全世界に報道され、サンクチュアリ教会は広く知名度を得ました。






式典は「ガンチャーチ」、「銃を祝福」などと報道されましたが、銃所持支持者には好意的に受け止められました。特に、フロリダ乱射事件で守勢に立ち、意気消沈していた銃所持を支持する保守派クリスチャンからは、よくやってくれたと感謝する声が大きかったのです。






式典後、パスター・ムーンに対し、多くの保守派メディアから、インタビューや番組出演依頼が殺到し、彼らは式典に好意的な報道をしました。今回の大統領選挙でもトランプ氏を積極的に支持し、多くの視聴者を持つ、ワンアメリカ・ニュースネットワークは、「あなたは、合衆国憲法修正第1条の表現の自由を発揮し、銃所持を認める憲法修正第2条を守ってくれた」、「素晴らしい式典」だと称賛しました。パスター・ムーンが、私たちは銃ではなく信者を祝福したと言いましたが、グレハム・レジャー司会者はむしろ、「アメリカは戦前、牧師が兵器を祝福していた。銃を祝福したとしても何ら問題ない」と言うほどでした。







サンクチュアリ教会の憲法修正第2条を支持する運動は、同じ志しをもつ多くのアメリカ市民と共に行っているのです。2019年の10月につづき2020年も挙行された「鉄のつえ祝祭」には、多くの保守派の団体が参加し盛況を得ました。以上の事実を踏まえれば、小野寺氏のサンクチャリ教会に対する主張がまったく実態とかけ離れたものだと分かります。






「ワシントンポスト」までサンクチュアリ教会の活動を評価




マスコミ報道のなかで一番驚きだったのは、ワシントンポスト紙の日曜版(2018.5.27)で、サンクチュアリ教会の特集をしたことです。しかも、極めて好意的な内容だったのです。ワシントンポストの思想的傾向を知る人には、にわかに信じがたいことだと思います。同紙は、リベラルな主張で知られ、もちろん銃所持規制派です。そのワシントンポスト紙が17ページにも及ぶ特集まで組んで、サンクチュアリ教会の活動を好意的に伝えたのです。






小野寺氏の動画では、このワシントンポスト誌に載った写真を使っています。ならば、記事の内容も一読していただきたかったです。これは簡単に見れます。パソコンで「Locked and Loaded for the Lord」と入れていただければ、原文、日本語訳など様々な内容があります。ぜひ目を通して下さい。






記者のトム・ダンケル氏はながくニューファンドランドにとどまり、サンクチュアリ教会を徹底的に取材しました。その結果、サンクチュアリ教会に対し豊富な知識を得、好意的記事を書きました。彼は、「キリスト教」と「銃」に関して関心をもったと話しています。アメリカにおいては「キリスト教」と「銃」の関係は、国家の理念、安全保障、社会の治安など、国民の運命を左右する重要な課題とつながります。






中立的立場のダンケル記者は、サンクチュアリ教会の様々な活動は、危険なものでないと理解しました。それどころか、この思想と活動がアメリカの平和と安全に有効だと判断したのです。そうでなければ好意的な記事など書くはずがありません。リベラル派の代表紙までが、サンクチュアリ教会の銃所有思想はアメリカ社会に安全をもたらすと認めたのです。






小野寺氏の「銃を持つ」→「暴力肯定」→「危険な宗教」という図式は、サンクチュアリ教会のアメリカでの評価を無視した、認識不足による、ステレオタイプの主張だと言うしかありません。これはむしろ、左派の、「トランプ」→「白人至上主義者・人種差別主義者」→「危険な人物」という事実無根の決めつけとそっくりです。





小野寺まさる氏の主張





 それでは、小野寺氏の発言を挙げてみましょう。



信者は武器をもって自分たちを守る警察であり軍隊だというみたいなこと言って、明らかに武器をもって戦うこと等々を容認しているような、非常に極めて危険な宗教だということで、アメリカでも大問題になっている宗教。これがトランプ支持者で、前回の選挙でも支持し、今回のあいだに武器を持ちはじめているという、とんでもないカルト宗教に発展している。この方たちもデモに参加していたんだとしたら、どうなっていたか分かりません。この方たちのことは何も言わないのはどうしてなんだと思いますし、こういう危険分子もたくさん入っているとしたら、こういう宗教に我々がたぶらかされて振り回されてはいけないというふうに思うのが普通だと思うんですけど、実はですね、アメリカ大統領選でトランプを応援している人たちが、こういう怪しい宗教が入っていることも知らずにのんきに応援していて、デマにも振り回されていたんだとしたら、もっと真剣にアメリカ大統領選をして、トランプを応援してと私は思いたい。






文鮮明の7男が、アメリカの世界の代表で、トランプの熱狂的な支持者なんだとしたら、当然、この人たちはトランプを応援すると思いますし、教祖が銃をもって応援すべきだと言っているんでしたら、この人たちも当然そのような暴力的活動に対して賛同しているはず。こういう方たちがデモに参加していたということが分かったので、私はデモに参加しなかったということです。こういう状況を本当に知ってデモに参加していたならいいんですけど、実際に何も知らずに、こういう暴力的宗教法人が流すデマだとかいろいろな画策があるのに、そういうものに振り回されたり、何も知らないでノーテンキにデモに参加していたのだったら、こういう方たちに利用されかねない状況だったとしたら、よくよく考えて大統領選に参加すべきだったと私は思いました。






上の発言をみれば、小野寺氏の主張が、アメリカでのサンクチュアリ教会のあり方と大きく隔たりがあると知っていただけると思います。






サンクチュアリ教会の思想は「自己防衛」のため




サンクチャリ教会は、アメリカ人と日本人の銃に対する認識の違いは充分に理解しています。ですから、日本もアメリカのように銃所持を認めよう、などと訴える運動をしようとは思っていません。それは日本人自身が選択するものです。







まず、私たちは、銃に対する知識を持ってもらおうと考えています。日本人が外国で銃による危険に直面する事態も起きているのです。銃の乱射事件に巻き込まれたら、すぐ伏せなければなりません。また、犯罪に巻き込まれ、警察官に銃を向けられたら、パスポートを見せようとポケットに手を入れたら間違いなく打たれます。すぐに手を上げなければなりません。私たちにはそんな銃に対する基本認識すらありません。銃を持ったことも、その威力も知りません。







国民の銃に対する知識は、安全保障、自己防衛にも不可欠です。北朝鮮の危険は核ミサイルだけではありません。20万人の特殊部隊も脅威です。彼らは有事の際、日本国内に侵入し、破壊活動を行います。その時の武器は銃です。ところが私たちは、そんな侵略に対する備えなど皆無です。銃など触れたこともなく、どんな対処をするか、全く分かりません。それでは侵略者の格好の餌食になるだけです。地震や津波のときの対処方は知っていますが、同じように、有事の際、銃をもった特殊部隊に、どう対処するか、初期行動くらいは知らなければなりません。その意味で、私たちはスイスの民間防衛の精神を学ぶとともに、銃の基礎知識を学ぶ取り組みが必要だと考えています。







小野寺まさる氏は、中国共産党の北海道に対する工作や、左派の策動に反対する活動を積極的におこない、尊敬しております。しかし、今回のサンクチュアリ教会に対する主張は残念で仕方ありません。この拙文を一読していただき、サンクチュアリ教会に対する認識を新たにしていただければありがたく思います。そして、日本の自己防衛の権利を放棄した亡国憲法改正を、保守の同志として、ともに実現することを期待します。




………



パスタームーンは、ペンシルベニア州共和党が開催した晩餐会でメインテーブルに招待され、共和党集会では開催の祈祷を行ったりしています。以下は、2018年2月の祝典から、4か月間で行なった、パスター・ムーンとサンクチュアリ教会のインタビューや報道などを列挙したものです。参考にしていただければ幸いです。



・祝典は、ロイター通信、BBCなど世界的メディアが報道し、数億の人に報道


・ロシアでも祝典が放映され、400万人が視聴


・全米第2の銃所有支持団体であるGОA(米銃器所有協会)のラジオに出演


・アイルランドのラジオ番組に出演


・シュラウゼンプロダクションがパスター・ムーンにインタビュー


・ワンアメリカ・ニュースネットワークの番組に出演


・ディジェネクスラジオに出演


・世界最大のニュースポータルサイト、ドラッジ・レポートがサンクチュアリ教会を
 3度 報道する


・ワシントンポスト日曜版が、インターネット版と新聞でサンクチュアリ教会の特集を掲載


・A&Eがサンクチュアリ教会を紹介し、多くの支持メールが寄せられる


・保守派の大物インフォウォーズのワシントン支局長ジェローム・コルシ博士が
 キングズレポートに出演


・ROD OF IRON KINGDOM『鉄の杖の王国』を発行


・RNS通信社(宗教関連ニュース専門)がパスター・ムーンの『鉄の杖の王国』を紹介


・ニュースイーグル誌が『鉄の杖の王国』を紹介


・『アンクルサムの殺害者』の著者、ポール・ウィリアムスがキングズレポートに出演


・銃所持支持のクック牧師が、パスター・ムーンを攻撃する者は私を攻撃する者と発言


・フロリダの自由を守る決起集会でパスター・ムーンがスピーチ

宗教と宇宙人の遭遇

霊魂をもつ宇宙人



UFOや宇宙人と言えば、SF小説の仮想存在でした。ところが近年、スピリチュアリティーや宗教の一角では、宇宙人が科学力とともに霊能力をもつ存在とみて、近未来に、人間と接触し、人類の科学と霊性が飛躍的に高まる、異次元の時代が到来すると主張します。面白いことに、テレビでも、UFOと遭遇するために、呪文や祈祷をします。宇宙人が、人間と同じように霊的、宗教的行為に反応する存在と想定しているのです。近年、宇宙人は宗教的観点から捉えるようになりました。





既成宗教の多くは、「霊」は在るが、「宇宙人」は架空の存在とみています。論じるに足りずと即座に否定する人も少なくありません。しかし、現在、UFO・宇宙人を肯定する傾向は無視できない趨勢です。





そもそも、宗教にとってUFO・宇宙人というテーマは扱いにくいものです。宗教では高度な知性をもつ存在は限られます。キリスト教では「神・天使・人間」、多神教では「最高神・神々・人間」、仏教では「諸仏・諸神・人間」です。肉体をもち、高度な知性をもつ存在は、人間以外を想定しません。宗教者にとって、UFO・宇宙人は想定外なのです。





「銀河帝国の興亡」や「アイ・ロボット」を著し、ユダヤ系の生科学者でありSF小説の巨匠アイザック・アシモフは、「UFOなどを信じる人の気が知れない」と否定しました。「銀河帝国の興亡」は、遥かな未来、銀河系宇宙に高度な文明が無数に存在しますが、そこに住む「宇宙人」は、地球から移住した人々で、人間ならざる宇宙人の存在は想定しません。このアシモフの見方には、一神教であるユダヤ教の影響が感じられます。






一方、スターウォーズやアニメのドラゴンボールなどは、人間ならざる宇宙人が登場します。昆虫や動物が進化して、高度な知的存在になったという想定です。





ふつう宗教は、人間と自然界から成る、この「地球」のあり方が、神の創造の「基本デザイン」と考えます。しかし、昆虫や動物が進化した、人間ならざる宇宙人が存在するならば、宇宙には私たちの世界と大きく異なる世界が存在することになり、地球のあり方が神の基本デザインとは言えなくなります。ですから、宗教者にとって、人間ならざる宇宙人の存在は想定しにくいものです。





宇宙・霊界・宗教



ビッグバーンから200億年という宇宙的時間からいえば、人類文明はわずか5000年あまりという「瞬間」です。すなわち、宇宙の途方もない時間のなかで、おなじ今の「瞬間」に、高度な文明をもつ生命体が存在し、人類がそれと出会うこと自体が、確率的に困難といえます。





存在したとしても、150億光年という天文学的な広さをもつ宇宙空間を飛行して地球に来ることが可能かという問題があります。秒速30万キロですすむ光が、一年で到達する距離が1光年です。その150億倍が宇宙の広さです。ふたつの高度文明は、無限ともいえる宇宙的スケールの時間と空間のなかで、極小の接点で出会わなければならないのです。まさに「アマゾンにいるアリが、1分以内に北海道にいるアリに生きて会う」以上の困難さがあります。





この広大な距離を飛び越えるため、ワープという、空間のゆがみを利用して瞬間移動する宇宙航法を想定します。しかし、広大な宇宙空間を克服できたとしても、悠久の宇宙時間も克服できなければ、文明が出会うのは途方もなく困難なことです。






そのため、時空を超越した「霊界」、あるいは「四次元空間」を通過して、宇宙人が地球に到来するとしています。霊界や四次元空間は、時間と空間を超越した世界と考えられますから、論理的には可能です。






しかし、科学の力で時空を自由に超越できたら、そもそも時間と空間の制約のなかにある、この世界の存在意義とは何なのか。とくに時間の問題では、タイムマシーンで、過去や未来に行き、自分の過去や将来、世界の歴史や行く末を勝手に編集できたら、私たちの人生や、人類の歴史の意味が失われてしまいます。





実はこれは、哲学の議論の対象になってきた問題です。日本を代表する哲学者、西田幾多郎は、時間は不可逆だと言っています。西田の言うように、時間は不可逆、不可超越で、「今」が、先端にある唯一の時間的世界であり、神、人間、自然界、全ての存在が、おなじ「今」という時間を共有しているのではないでしょうか。





イエスや釈迦、孔子など多くの聖人も、時空を超越した存在だったわけではありません。時空の制約の中で生き、自分の未来すら明確に知ってはいませんでした。私たちとおなじ短い人生をあゆみ、そのなかで濃厚な愛と慈悲の実践をし、永遠に変わらない不変の真理を教えた人々です。





宗教は過去にポイントをおく



UFO・宇宙人を精神世界と結びつけて論じる姿勢は、既成宗教の枠を越えた、「未来志向」の宗教観と見ることもできます。しかし、宗教における「未来志向」は、過去の克服が前提になります。宗教は、この世が不完全であるかぎり、過去から引き継いだ、因果の宿命と戦うことに意味があり、苦しみの甘受、忍耐や自己犠牲による罪(業)のつぐないなどが求められます。






三大聖人は皆、2000年以上前の人で、献身的、犠牲的人生をおくりました。宗教とは、過去の聖人の教えを大きな光源とし、現在に生きる私たちがその光を受けとめ、未来へ反射させるものです。宗教はまず、過去を踏まえます。宗教者が伝統を固く守り、過去を忘れないようにするのもそのためで、遠い過去に書かれた教典を学び、お坊さんは髪を剃り、袈裟を着ます。





宗教者にとって、科学と霊能をもつ宇宙人と交流し、宗教と世界の新しい時代が開かれるというのは、なかなか理解できない未来像です。むしろ、人間がおかした過去のあやまちと、間違った価値観を、聖人の教えで改善することによって、宗教と世界の新しい未来が開けると考えます。過去の問題を解決するのが宗教の大事な使命です。






「宇宙時代」への異宗教コミュニケーション



いろいろ論じてきましたが、UFO・宇宙人問題は難しい議論です。人間は、いまだに死んで霊界に行くのか、輪廻するのかという問題すら結論を得ていません。自分の死後もはっきりしないのに、UFOや宇宙人のことが分かるはずがありません。UFO専門家である矢追純一氏も、UFO・宇宙人のあり方は、きわめて複雑で混乱していると指摘するように、この問題は簡単には結論づけられないものです。





宗教者の多くは、UFO・宇宙人は霊的存在ではないかと考えています。一方で、UFO現象は多くの人が目撃するとともに、UFO・宇宙人の実在を信じロマンを感じる人もたくさんいます。






今日、宇宙開発はすすみ、人類は宇宙に進出し、いつかは「宇宙時代」が到来します。アシモフが想定したように、未来の宇宙には、人間が移り住み人類文明を拡大するのか、それとも、人間ならざる宇宙人と遭遇し、彼らの文明と共存するのか、という異なる二つの未来図を描くことができます。こんな「宇宙時代」の様相について様々に議論するのは面白いことです。






「UFO・宇宙人否定派」は、肯定説を荒唐無稽と感じ、一方、「肯定派」は、否定説を頭が固いと感じるでしょう。認識は食い違いますが、双方が相手をバカにしないで真摯に議論すべきです。そうすれば、新しい良いものが生まれてきます。とくに、宇宙的スケールの世界観をもつ「法華経」を学ぶ宗教者は独自の見解があると思います。UFO・宇宙人問題は、「輪廻か霊界か?」のように、異宗教コミュニケーションで自由に語り合うことができる興味深いテーマです。