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〈編Ⅳ〉『鉄のつえの王国』・ダイジェスト (4)

この〈編Ⅳ〉においては、アメリカ社会における市民の銃器所有問題について扱います。特に、具体的な銃による防御的使用の実例を挙げ、銃所有がアメリカの犯罪防止に役立っていることを明らかにしています。ここでは「銃の隠匿携帯の許可」という用語が登場しますが、これは銃を所有するだけではなく、銃を隠し持って外出できる許可のことです。





1.合法的な銃所有は人命を救う



犯罪防止研究センターが指摘したように、過去60年間に、無差別銃乱射事件の98.4%が、銃器の合法的な携帯が許されない「ガンフリーゾーン(銃持込禁止地帯)」で起こりました。1998年から2015年までの20年間では、無差別銃乱射事件の96%がこのようなガンフリーゾーンで発生しているのです。






ガンフリーゾーンを設置し、学校、商業地域、公共の広場、政府の施設、礼拝所、医療施設などで、銃の数を減らす施策が、人々の安全を守らなかったことは明白です。それどころか、善良な市民が銃器携帯を禁じられている場所は、犯罪者にとって極めて好都合な場所なのです。






2012年、コロラド州オーロラで、12人を殺害し70人を負傷させた事件が発生しました。このバットマン上映中の映画館での銃撃犯ジェームズ・ホームスは、犯行前、空港と映画館のどちらを攻撃するか思案しました。ホームズは、しっかり安全対策を行っている空港という選択肢をすて、代りに、彼のアパート近くの7つの映画館のうち、「銃の隠匿携帯を禁止する」ポスターを掲示していた唯一の映画館に狙いを定めたのです。






別の悲しい例は、2016年に起きたフロリダ州オーランドのゲイ・ナイトクラブでの無差別乱射事件で、50人が死亡し、53人が負傷しました。イギリスのデイリー・メール紙がコメントしたように、「事態を悪化させたのは、銃撃が始まったときから警察が建物に入るまで3時間もかかった」ことでした。これは、法執行官(警察)が、人命を救うために間に合うように到着する可能性が低いという証拠なのです。






銃器の防御的な使用に関して、銃規制支持者たちが考慮することはほとんどありません。2つの詳細な研究により、米国では毎年、150~250万件もの銃の防御的使用が行われていることが分かりました。(「アメリカでの銃器私的所有権に関する国家の調査と銃器使用」,1997.「犯罪に対する武装抵抗」,2018) 実に、殺傷事件で銃が使用されるよりも、人命守護のために銃が使用されることが80倍も多いのです。調査を行った研究者はこう説明します。






調査によると、銃やその他の武器で抵抗する被害者は、他の被害者よりも盗難や強盗で財産を失う可能性が低いことが一貫して示されている。銃で抵抗する被害者は、他の方法で抵抗する人よりも怪我をする可能性がかなり低く、更には、まったく抵抗しない人よりも怪我をする可能性が低い。






レイプ事件の場合、何らかの武器で抵抗した被害者は、レイプされる可能性が低くなります。実際、毎年20万人の女性が性的虐待から身を守るために銃を使用しています。






2.銃の防衛的使用が人命を救った例



市民による銃の防衛的な使用がこれほど多いのに、人々にどうしてそれについての話が伝わらないのでしょうか。その知識を補うために、いくつかの例を紹介します。





◎テキサス州ヒューストン、2018年3月27日、50代の女性が車庫に車を入れるところ、マスクを着用した3人の武装した男に待ち伏せされた。男らは彼女を殴ってあごの骨を折り、財布を奪った。しかし、男たちが彼女の家に入ろうとしたとき、女性がピストルで強盗らを撃ったので、一味は車で逃げ去った。





◎カリフォルニア州へメット、2018年2月14日、凶悪犯罪の前科がある者が、家宅侵入を企てていたところ、老夫婦が銃を使用し撃退した。





◎スティーブン・ウィレフォードは、2017年11月5日、テキサス州サザーランド・スプリングスにある、銃撃を受けたファーストバプテスト教会に英雄的に飛び込んだ。殺人犯のケビン・ケリーが教会員を撃っているとき、元NRAインストラクチャーのウイレフォードは、AR15半自動小銃をつかんで裸足で自宅を飛び出し、そのまま通りを渡ってケリーの銃撃をくいとめた。彼は、20人もしくはそれ以上の人命を救った。






◎2016年6月30日、サウスカロライナ州ライマン。オーランド虐殺の2週間後、32歳のジョディ―・レイ・トンプソンは、別のナイトクラブでも発砲した。トンプソンが3人を打ったとき、銃の隠匿許可を持つ人が撃ち返し、トンプソンの足を負傷させ、多くの人命を救った。






◎ジョージア州コンヤーズ、2015年5月31日。一人の男が酒場で2人を殺害し、さらに他の客に向け銃撃をつづけた。銃携帯許可所有者が店内に入って銃火を交え、殺人者は店から逃げた。ロックデール郡保安官のエリック・レベットは、「彼はあの店で人々の命を救ったのだ」とコメントした。






◎ジョージア州ローガンビル、2013年1月4日。何者かに家に侵入され、2人の子供と屋根裏部屋に身を潜めていた女性が、侵入者に果敢に銃を発砲したことで難を逃れた。






お分かりでしょうか、アメリカで年間250万件の銃器による防御的使用があるということは、上にあげた例と同じような出来事が、毎日アメリカで6800件以上起きていることを示しているのです。





3.銃の隠匿携帯許可保有者は最も安全な市民



一般市民の銃の携帯に反対を唱える人は、市民による銃器隠匿携帯が広がると、市民の不必要な死をもたらし、経験の浅い銃のユーザーが起こしそうな問題を、先取りして疑います。しかし、実際のところ、犯罪学研究の多くが、銃の隠匿携帯が犯罪を減らすことを発見したのです。これらの研究は、銃携帯の権利を認める法律が採用された後、暴力犯罪が減少し、その法律が施行される期間が長くなるほど、暴力犯罪はより大幅に低下することを明らかにしています。(Maryland Low Review, 71, 1205-1218) 銃の隠匿携帯許可保有者は、警官や平均的市民よりも犯罪率が低く、社会で最も安全な市民層なのです。






フロリダの殺人率は、銃の隠匿携帯法が制定されてから15年間で、52%減少しました。ジョージア州ケネソーは、世帯主に銃器の所有を要求した結果、住居への侵入が89%も減少しました。住居侵入盗難率は、法律ができる前よりも72%も低いレベルに留まっています。






更には、イギリスやカナダなど銃の規制国では、アメリカよりも犯罪者の住居侵入率が高いのです。2018年2月と3月のロンドンの殺人率は、イギリスの首都がナイフによる犯罪の劇的な増加に悩まされたため、ニューヨーク市を上回りました。