宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

世界−人類−日本、皆が幸福になる知を探究します。

西洋没落・アジア勃興・反グローバリズムへ

1. 西洋没落の衝撃・世界大戦の衝撃・核兵器の衝撃


20世紀前半は凄まじい戦争の時代となり、脱亜を推進した体制は崩壊に追い込まれます。1914年に勃発した第一次世界大戦は、総力戦という様相となり、双方の死者は800万人、過去の戦争と比較にならないほどの被害を出し、シュペングラーの『西洋の没落』が注目されるほど、ヨーロッパは衝撃を受けました。日本は、連合国として参戦し戦勝国となり、世界5大強国のひとつとなったのです。





1939年に第2次大戦が勃発し、ふたたび途方もない被害をもたらし、死者は6千万人、多数の一般市民が被害を受け、6百万人のユダヤ人殺害など、残虐行為がなされました。日本は死者310人に達し、人類史上初の原爆被害を受けたのです。





兵器の破壊力向上による被害の深刻化は、人々に戦争自体に対する懐疑と拒否を呼び、長く西洋を支配していた「力」を重視する考えは後退しました。諸国は独立を獲得し、植民地の存在は否定され、人権を尊重する意識も高まったのです。




2.冷戦から宗教対立の世界に



しかし戦後、イデオロギーを原因とする冷戦が始まりました。冷戦期は人々が核戦争勃発におびえ、戦争をすれば人類が死に絶えるという、闘争の歴史が最後に辿り着いた恐怖の時代でした。緊張がエスカレートする危険、戦争へのプロセスを知る両陣営は、相手陣営に対する決定的挑発を自制し、核戦争は免れました。





結局、1989年のベルリンの壁崩壊をかわきりに、社会主義政権が連鎖的に崩壊し、冷戦は終焉しました。強固なイデオロギーをもつソ連圏が戦争を経ずに崩壊したことは驚くべきことです。歴史的に、「帝国」が亡びるとき、戦争を経ずに斃れた例はほとんどありません。冷戦の平和的解消には、核戦争勃発の恐怖と、悲惨な世界大戦の教訓が大きく貢献したと理解できます。2度の世界大戦の犠牲が人類の滅亡を防いだのです。





冷戦後あらたな危機が生まれました。世界各地で宗教と民族問題が表面化し、衝突を始めたのです。現在の紛争と戦争、そしてテロは、ほとんどが宗教、民族問題に起因します。一方、世界の軍事力拡張も続き、核を開発する国家があり、核とテロが結びつく危険もあります。 



 


20世紀は多くの犠牲をはらって、戦争の愚かさと平和の尊さを学びました。人類は20世紀を反面教師として、恒久的平和維持システムを構築すべきなのですが、いまだ、その枠組みを創出できずにいます。それどころか、現在、中国が露骨な対外拡張政策を推進する一方、北朝鮮が核兵器を開発し、世界が再び核戦争におびえる「新冷戦」に暗転してしまいました。




3.アジア勃興時代から反グローバリズム時代へ



冷戦終焉後、中国、インド、ロシア、ブラジルなど、長いあいだ国家システムや政治、経済的与件により停滞していた国家が力強く発展をはじめ、その他の後進地域も開発を始めました。






特に、注目すべきはアジアです。戦後、まず日本が発展し、韓国、台湾、香港、シンガポールがつづき、その波はアセアン10カ国におよび、ついに、中国、インドが急激に発展しはじめました。アジアにおける伝統的帝国であり、人口超大国の、中国、インドが発展している冷戦後の世界は「アジア勃興の時代」と言っても過言ではありません。





冷戦終焉後は、共産圏の経済が開かれ、世界規模で、「人・物・金」が、移動するグローバル経済体制になりました。このグローバル・システムは、人々を豊かにすると信じられてきました。しかし、実際は、貧富の格差が拡大、固定化し、多くの人々はむしろ貧しくなりました。世界の上位1%の富裕層が、83%の富を独占する不均衡と、80人あまりのスーパーリッチが、途方もない富で、世界経済と、世界政治まで支配する、異常な状態に陥っています。





しかし、2016年、アメリカのトランプ大統領の登場と、イギリスのブレグジット(Brexit.英国のEU離脱)で、形勢は一挙に逆転しました。なんと、アメリカとイギリスという、グローバリズムを推進してきた二大国から、反グローバリズムの強力な動きが起こったのです。世界は今、急速に、グローバリズムの清算が進行する世界に転換しました。





反グローバリズムは、世界の中心で、突如起こった動きです。そのため、政治家であろうと、大企業のリーダーであろうと、学者であろうと、多くの人々はよく分かりません。いま起き始めた反グローバリズムの怒涛を理解しなければ、21世紀の世界がどこに行こうとしているかさっぱり掴めません。この「Harmonyのブログ」で発信している歴史観は、日本が、グローバリズムと戦える強靭な歴史観を構築する試みです。
                               (永田)



以下は反グローバリズム関係の記事です、ご参考のほどを。