宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

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『緋色の研究』とモルモン教

Coffee Break 2編



『緋色の研究』とモルモン教



緋色の研究 (A study in Scarlet)は、1887年、貧乏な医者コナン・ドイルの、ようやく掲載が決まったシャーロックホームズの一作目です。モルモン教に対しひどい偏見に満ちた内容で、ジェレミー・ブレッド主演のBBC放送のホームズシリーズでは、ホームズと相棒のワトソンが出会った大事な場面があるにもかかわらず、あえて制作されなかったほどです。例をあげれば、こんな調子です。


いちど迫害の犠牲になった人たちは、こんどは勝手に迫害者のほうへと鞍がえした。スペインのセリビアの宗教裁判、ドイツの夜間秘密裁判、イタリアの秘密結社といえども、当時ユタ州を暗闇にとざしたこのおそるべき制度には比ぶべくもなかったほどである。 (訳延原謙)




モルモン教は、ブローニング銃を開発し、アメリカの安全保障に貢献し、デルコンピュータ―もモルモン教徒が創始しました。モルモン教徒が開拓したユタ州は、発展し安全な州として知られ、2002年には州都ソルトレイクシティーで冬季オリンピックを開催しました。モルモン教はアメリカに大きく貢献した宗教なのです。それにしても、130年以上ものあいだ、恐怖のテロ宗教と伝えた世界的ベストセラーで、モルモン教がどれほど誤解されたでしょうか。保守の論客ケント・ギルバート氏はモルモン教の熱心な信者です。





聖・ひじり



「ひじり」とは、天皇、高徳の僧、そして諸国を遊行する僧など、実に意味がおおい言葉です。庶民にとって「ひじり」といえば、遊行僧です。家がないのだから「乞食坊主」ともいえますが、全国にたくさんいた彼らこそ、権威あるお寺の僧侶より、庶民に寄りそい、その魂を癒した、真の救済者といえます。




前途を嘱望された比叡山延暦寺のエリートだった法然は、全てを捨て「ひじり」になりました。そして、誰でも「南無阿弥陀仏」と唱えさえすれば阿弥陀さまが救ってくれるという、庶民にとってありがたい浄土宗をおこしました。その弟子が親鸞。聖たちが修行したところは「別所」ともいわれ、氏名や地名として今に残ります。