宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

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アメリカ超凶悪犯に100%共通する個人条件、そこから「女系天皇問題」を考える

1.100%という恐ろしい確率



以前、テレビで、アメリカにおける凶悪な連続殺人を取り上げた特集番組を見ました。彼らは自己の快楽のために聞くに堪えない凄惨な犯行を続けました。番組のなかで、強く頭に残った部分があります。これら凶悪な連続殺人犯の生い立ちを調査したら、様々な条件があったのですが、ひとつだけ、全ての犯人に共通するものがありました。それは父親に問題があったということです。






全て、すなわち100%という確率は恐ろしいものです。人間は、父親に問題がなければ、絶対にこのような凶悪な連続殺人は犯さず、反対に、他に問題がなくとも、父親に問題があれば連続殺人を犯せる、という結論が導き出されるからです。これは何を意味するでしょうか。人間の精神形成に、父親の影響が甚大であることです。






しかし、普通、私たちの常識は違います。人は父親にどんな問題があっても、良い母親に愛されて育てられればいい人間になる、というものではないでしょうか。ですから、多くの人は、人の精神形成において、父親より母親のほうが、子供に本質的影響を与えると感じていると思います。しかし、この凶悪犯罪者たちの生い立ち調査からは、違う真実が浮かび上がります。子供に対し、母親より父親が、より本質的な影響を与えているという事実です。





2.女系天皇問題の難しさ



この調査結果で、皇位の女系天皇容認問題を考えてみたいと思います。最近では河野太郎大臣が女系天皇容認のコメントをして保守派から集中砲火を浴びました。しかし、これは仕方ないと思います。女系天皇は認められないということは、しっかり関連情報を得てかなり考え込まないと確信を得ない難問だからです。






現代の科学が発展した世界では、見えないものより、見えるものを重視します。人間は母親の胎内で体が造られ、誕生し、母乳を飲み、母親に育てられます。そして多くの場合、人は、父親より母親に深い愛情を感じます。そのため、母親は父親より精神的にも深い影響を与えていると思うのは自然といえます。女系天皇容認には、人の心に深い影響を与えているのが母親なのだから、女系天皇で何が悪い、という意識が底流にあると思います。







しかし、人類は歴史的に、目に見える世界より見えない世界を重視しました。男性・父親の影響は目に見えない性格のものなのです。近代以前の人々は、今では想像もつかないほど宗教的でした。人の血統を示す系図というものも、東洋でも西洋でも、そして聖書でも、男系男子中心です。特に、東洋では、歴史的に、男系の血統が皇位、王位を継承し、この伝統は堅く守られてきました。理由は、人間の精神の本質は、父親、男系を通じて流れると信じたからです。そのため、皇位の継承は「霊統」といい、見えない霊の継承なのです。昔の人はそれを感知していました。







3.「見えない世界を識る知性」と皇位の男系継承



人の知性には「見える世界を識る知性」と「見えない世界を識る知性」があると思います。「見える世界を識る知性」は、太陽と昼に象徴される、光と熱をうけエネルギーで構成される世界を解明し運用する知性で、科学的知性ということができます。自然科学、社会科学、人文科学をふくめ、論理で把握でき、人々に説明できる知性です。人類はこの知性を活用し、驚くべき発展をとげました。






一方、「見えない世界を識る知性」は、月と星、夜に象徴される知性で、目にみえず、論理で把握できず、説明が困難な知性です。満天の星空のもとで、祈り、思索して知る、霊的、宗教的知性ということができます。これは、現実に役立つ「見える世界を識る知性」とくらべ、無意味なものと認識されやすいものです。現代人はこの知性が退化しました。






しかし、夜空にかがやく星は何千万、何億光年という彼方にある恒星が放った光で、星空とは天文学的スケールの世界なのです。それは神、永遠、無限を感じることができる世界です。反対に、昼にみえる太陽と地球の世界は、夜みえる世界とくらべると、大海とコップの水以上の違いがある小さなスケールの世界です。







「見えない世界を識る知性」とは、フランスの作家サン=テグジュペリが『星の王子さま』で、「心で見ないと、なにも見えない。いちばん大事なことは、目には見えない」といっている、心でのみ感得できる「知」です。この知性は、世界の構造を解明する知性ではなく、世界が存在する意味を教えてくれる知性です。すなわち、「見えない世界を識る知性」は、皇室の表の姿を説明するものではなく、皇室の存在意味を説明するものです。






昔の人は、女性・母親の目に見える役割を充分に認めても、男性・父親を中心に置く価値意識がありました。それは男性・父親の精神に与える重要性をしっかり認識していたからです。そもそも、人の精神世界形成における男性・父親の重要性は、宗教の世界を見れば一目瞭然です。宗教の教祖はみな男性です。キリスト、釈迦、孔子、マホメット、空海、法然、親鸞、日蓮など、世界と日本の精神的巨人は皆男性です。







科学時代以前の人々は、人間は霊と肉により成り、霊にかかわる部分は主に父親から、肉にかかわる部分は主に母親から受け継ぐという意識が明確だったのではないでしょうか。凶悪犯に共通することが問題の父親であることは、現代人にとっては意外なことですが、昔の人にとっては、むしろこれが常識だったのではないでしょうか。







「霊統」である、皇位の男系継承の正統性は、科学的に証明できることではなく、むしろ科学では把握できない、目に見えない世界に根拠があるものです。そのため現代人には容易に理解できません。世界に例がない天皇家の素晴らしさは、私たちの先祖が、「目に見えない世界を識る知性」の価値を知り守り続けてきたものです。子供に対し、たった一つの精子しか根拠がない男性は、女性に比べ、肉体的役割は99対1の役割も演じていないでしょう。しかし、現代人は、凶悪連続殺人犯が100%一致する条件が、父親に問題があったという意外な事実に接し、人間の精神形成の秘密の一端を知ることになりました。1しか根拠がないものが100%の確率の影響力をもつのです。「一番大事なことは目に見えない」のです。







現代人は、このような神秘的な「見えない世界を識る知性」を再び、古人のようにしっかり捉えなければなりません。永遠という尺度で、日本の過去、現在、未来のつながりを知り、国の精神的基礎を確固としたものにするためには、目に見えない貴い価値をもつ、天皇位の男系継承を守らなければならないのです。