宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

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2012年・瓦解が始まった東アジア圏 -中国・韓国の運命-

1.2012年の転落開始と2017年の立て直し開始


いま、考えてみると、中国が、拡張政策を積極化して世界の脅威となり、韓国に、北朝鮮にならって共産革命をめざす文在寅政権が立つなどという、驚愕の事態の、そもそもの発端は2012年に開始されました。



この年に、中国では習近平政権が立ち、世界制覇に歩を進め、韓国では、李明博元大統領が竹島に上陸し、反日政策を開始、次の朴槿恵政権が反日政策強化と親中国に傾斜し、ついに共産主義者による、親北朝鮮、反日の文在寅政権が立ちました。北朝鮮は、核ミサイル開発をつづけ、文在寅はこれを非難するどころか、内心では応援しています。





この迷走に、強力なブレーキをかける動きが起きました。それが、2017年、アメリカにトランプ大統領が立ったことです。日高義樹氏が指摘した「戦わない軍事大国」(2016)になった弱腰のオバマ政権では、到底、この動きに対処することなどできませんでした。アメリカは、中国、韓国の誤りを正すため、強力な対抗措置を次から次へと打ち出しています。中国には貿易戦争、北朝鮮には軍事力を背景に断固たる態度を示し、韓国には強硬な反文在寅姿勢を崩しません。





2.世界における米・中対決の意味とは?



米・中対決とは、どのようなものでしょうか。世界一の大国が、世界二の大国を抑え込もうとしているのです。両国の影響力は世界におよび、必然的に、この対決は世界スケールのものになります。GDPの規模と順位で考えてみましょう。本稿に関連する国家もあげます。(単位:百万米ドル)


1.アメリカ 2058
2.中国   1336
3.日本    497
5.イギリス  282
10.韓国    172
21.台湾     59
36.香港     36
119.北朝鮮    1.7


中国のGDP統計は過大に粉飾している疑惑がありますが、世界二位の経済大国であることは間違いありません。中国はまた、広大な国土に、人口大国、核をもつ軍事強国でもあります。この対決は、人類史上最大の、巨大国家間の対決といえます。





また、米中対決は、米ソ冷戦構造とはちがいます。米ソは、それぞれの陣営での覇権を認めながら、棲み分けと牽制をおこなっていました。しかしこの米中対決は、現在の中国がおこなっている、軍事力、経済力を背景とする拡張政策と覇権掌握への野心を捨てない限り、アメリカは終わらせません。また、ウィグルやチベットに対する弾圧や、市民に対する人権侵害をやめない限り収まらない状況になっています。アメリカの政策は明確でありアクティブなのです。結局、習近平路線の転換と民主化の前進が、米中対決集結の条件です。アメリカは今の中国との共存は考えていません。





アメリカの対中戦略は英連邦に影響しました。中国との経済交流で利益を得て、親中だったイギリスは、すっかり反中国に立場を変え、オーストラリア、カナダなど、英連邦諸国もイギリスに追従し、反中国の旗幟を鮮明にしました。イギリスはすでに、米中経済戦争での中国敗北後を考えて国家戦略を立てています。河添恵子氏は、それを「大英帝国復活」のような展開になると予想します。





韓国はどうでしょうか、この国は経済力は世界10位で、11位のカナダ、12位のロシアより大きな経済をもちます。しかし、驚くことに、文在寅は、自国よりGDPが100分の1程度の貧困国、北朝鮮の体制にならう革命を推し進めています。こんな愚かな革命が成功したら、韓国人は北朝鮮国民のような悲惨な状態になります。彼は、現実無視の共産主義ロマンに陥った最悪な指導者です。





注目すべきは、中韓両国の経済規模は大きいですが、内容は極めて脆弱だということです。中国経済は巨大バブル経済であることは常識です。独裁国家ですから、破綻状況を隠蔽し、経済統計をねつ造し、必死で、持ちこたえていますが、このバブルはいつかは弾けます。そのとき、世界に中国経済の真実が露見します。韓国も、今の後退がつづけば、1997年のような通貨危機に直面し、再び、デフォルト(国家倒産)が危惧されています。これも韓国経済の実態を露呈するのです。奇しくも、東アジアを混乱させている中韓両国の経済は崖っぷちに立たされているのです。





3.希望は「大中華圏」と「在外韓国人」



習近平は、中国の拡張戦略に、香港、台湾、シンガポール、華僑の「大中華圏」を足場にしようと目論んでいました。韓国も、おおくの在外韓国人がおり、彼らの影響力は小さくありません。両国は移民というかたちで多くの国民が世界に進出し、彼ら移民者たちは、自国文明への帰属意識が強く、母国との交流も盛んです。





世界の華僑は、総数約4500万人に達します。世界にひろく居住していますが、東南アジアに多く住み、インドネシアに730万人、タイに610万人、マレーシアに538万人、フィリピン、ミャンマー、ベトナム等にもそれぞれ200万人余り居住し、シンガポールは華僑国家です。彼らは強い経済力を持ち、これらの国の商権を掌握しています。アメリカの華僑も200万人に上ります。





これら華僑は、民主主義国家で生活し、自由と人権の価値をよく知る人々です。中国本土の人々は民主主義を知りません。中国を民主化するには「大中華圏」の影響が求められます。ですから、香港のデモが重要で、この動きこそ「大中華圏」の意思を世界と中国本土の人々に発信しているのです。いまや、香港市民がデモのときに歌う「香港に栄光あれ」は、大中華圏の人々の願いを歌い上げる曲になっています





一方、韓国人移民者総数は600万人に達し、中国に238万人、アメリカに186万人居住し、ロシアにも20万人、日本には61万人ほど住み、様々な分野で活躍しています。



 


韓国人は、アメリカの移民史のなかで初めてビジネス資金を持って渡った人々と言われますが、彼らの多くはアメリカに行く前に親族や友人が成功しており、充分な見込みと先に渡った人々の様々な支援があったのです。この成功の背景は国境を越えても威力を発揮する、血族を中心とする人的繋がりで、それには儒教思想の影響があります。これら在外韓国人は、共産主義者である文在寅大統領には批判的です。





著者は、韓国や台湾に長く暮らしましたが、これらの国では海外移民者の存在は極めて大きなものがあります。ほとんどの人は近い親族に移民者がおり、移民というものが身近です。成功した移民者が自国に大企業をつくる例も多く、彼らの存在を抜きにして両国の未来を語ることはできません。





4東アジアにおける韓国の地政学的重要性



日本は歴史的に中華帝国との関係が疎遠でした。特に近代以前の政治的関わりは希薄で、中国との公式的交流の積み重ねがありません。私達は中国という国の体質、中国人の思想と政治感覚を充分に理解していないのです。





しかし、韓国人はちがいます。彼らは、地政学的宿命として、中華帝国と密接な交流をし、中国人との付き合いに習熟しているのです。三国統一期に唐と外交、軍事でしたたかに渡り合った新羅をはじめ、高麗朝の元朝に対する外交と抵抗、儒教を強調しながら明、清朝と善隣友好関係を結んだ朝鮮王朝の外交などは、国境を接する超大国中国を相手に、国家の生き残りを達成した優れたものです。




反対に中国にとっても朝鮮半島国家は長く親密な関係を持った「古い友人」なのです。両国は儒教的価値観を共有し、「儒教の宗主国」、「東方礼儀の国」と認め合った歴史を持ちます。





このような韓中の歴史をみると、現在の好戦的共産主義を中心に、韓国が、習近平の中国、金正恩の北朝鮮と連帯しようとする東アジア情勢は、まさに、モンゴル帝国と高麗王朝の連合時代とおなじ、東アジア史の正道を踏み外した、希な、異端的動きなのです。現代のモンゴル帝国である中華人民共和国は、周辺国と世界に脅威を与えています。いまや中国は、韓国を自国の勢力圏に引き入れ、次に、日本を狙っています。





中国は軍事費を増大させ、強硬な対外姿勢を変えず、日中関係は尖閣諸島領有をめぐる軋轢が続きます。中国の行動は侵略であり、アメリカは日本を支持します。日本は中国に対し油断をすることなく、断乎とした態度を貫けば、日本が勝利することは確実です。また、日本の東アジア戦略として、韓国を、再び、反共の国家とし、更には、親日に転換させる努力が必要です。難しいことですが、韓国の地政学的重要性を考えるとき、この国を見限ることはできないのです。





日本は、西洋と緊密な関係を築いた西洋をよく知る国家です。一方、韓国は、長い交流の積み重ねから中国人の真意、中国とはどういう国かよく分かっています。両国が共同歩調を取るならば、双方の利点を生かすことによって、中国に影響を与え得る力を発揮することができます。日本の21世紀戦略は、再びしっかり反共に立った韓国と共同し、中国と向き合い、共産党独裁の下で不自由な生活に呻吟する、14億中国国民を解放することです。 (永田)



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