宗教&インテリジェンス(旧harmonyのブログ)

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西洋の「個」と東洋の「つながり」、東西・発想の違いと世界平和

1.西洋的個人主義の限界


西洋文明は、自由、平等、博愛という人権思想で民主主義社会をつくりあげ、人類の幸福増進に貢献しました。しかし、いまだに国際社会は、葛藤、対立により深い苦悩を抱えます。国連は、基本的人権と人間の尊厳を掲げ、平和実現に努力していますが、葛藤は解消できず、力の限界を示しています。





それは国際社会が、西洋の個人主義を基本理念として成立していることに原因があるのではないでしょうか。国連は、個人の独立を重視する西洋の考えを反映し、国際社会を、強い独立性を持つ主権国家の集まりと見、加盟国が、権利と義務を持つという、西洋的思想で運営されています。





西洋とアジアの発想の違いは、西洋は「個」を重んじ、アジアは「繋がり」を重んじるということです。西洋は個人の独立を尊重し、アジアは家族、血縁の結びつきを尊重します。特に東アジアでは儒教思想によって、家庭重視の価値観が体系化されました。「修身斉家治国平天下」という言葉は、個人、家庭、国家、世界が不可分のものとして繋がっているという思想で、そのなかでも「孝」という家族倫理を最も重視します。





反対に西洋は、帝国の支配から国家が独立し、王権から都市が独立し、両親から子供が個人として独立するなど、各主体の独立性を尊重し、その上で個々が他者に対し、権利と義務を持つと考えます。




2.グローバリズムの冷酷な論理



しかし、世界が抱える深刻な問題は、権利や義務意識だけでは解決できません。文明の葛藤、貧富の差、環境汚染、資源、食糧問題などは、諸国が痛みを分ち合う家族的連帯なくしては到底解決できないのです。国際社会を一つの家族とする心で、弱者を援助し、難題の解決に取り組まなければなりません。





もっと本質に迫れば、この西洋的思考は、グローバリズムの論理と似ています。グローバリズムは、人々が平等に繁栄する社会をつくると主張しますが、実際は逆で、一部の者たちだけが繁栄し、大多数が貧しくなる社会をつくりました。そして、人々の貧困状態は、個別責任、すなわち、貧困な者の個人責任だとして、斬り捨てます。すなわち、西洋的個人主義を悪用しているのです。グローバリズムは少数のスーパーエリートが富を独占し、彼らに奉仕する者たちが多めの富が与えられ、大多数の人々は発展の機会をもたない、階層社会をつくり上げました。





そのようなグローバリズムにとって、「家族」という観念は、きわめて不都合なものです。家族である限り、富を分かち合わなければならず、少数者の富の独占は崩れます。そもそもキリスト教は富を分かち合う、利他的宗教です。グローバリズムの本質は、利他ではなく、利己なのです。国際金融資本家の思想を考えてください。徹底的に自分の利益を追求します。ある国から一挙に資金を引き上げて、国家が破産し、その国の人々が塗炭の苦しみを味わっても、同情など微塵もありません。それが、スーパーエリート・グローバリストの本質です。




3.韓国が生きのこる道



1997年、韓国は国家破産し、IMFというグローバリスト組織の言うとおりに経済構造を改革しました。その結果、貧富の格差は極度に広がり、経済が外国に収奪される、希望のない「ヘルコリア〈地獄の韓国〉」といわれるまでに堕ち込みました。サムソンすら株の54%は外国人所有で、韓国は悲惨なグローバリズム被害国なのです。文在寅のような共産主義者が大統領になったひとつの要因もここにあります。





韓国問題の解決は、共産主義問題とともに、グローバリズム問題も解決しなければなりません。共産主義もグローバリズムも、社会問題において「家族」を基準にすることを嫌悪します。韓国の生きる道は、反共、反グローバリズムに立ち、国民が家族的連帯意識をもって努力し、経済的危機を克服することです。




4.宗教者が蚊帳の外で、世界平和を創出できるか?



もうひとつ指摘すべきは、国際問題解決に、宗教者の役割を限定していることです。もっと言えば、宗教を排除しています。西洋には凄まじい被害をもたらした宗教戦争の教訓から、宗教を政治から切り離す政教分離の原則があり、それが国連のあり方に適用されています。世界の紛争は、宗教、民族間の葛藤を原因とするものが多いのですが、その解決を、各国政府の代表者が担当し、宗教者の出番はほとんどありません。それでは各国の立場と国益が優先され、葛藤解消は不可能です。





西洋とアジアの宗教の歴史には違いがあります。アジアの宗教も権勢を持った時代がありましたが、ヨーロッパの十字軍戦争のような、宗教者が中心となり大遠征を行なう、あるいは諸国を巻き込む宗教戦争を起こしたことはなく、王権の下で人々の霊魂救済に努めてきました。このようなアジア宗教史の立場から考えると、あえて宗教と政治を分離する西洋的思考にこだわる理由はなく、むしろ宗教者が先頭に立ち、国際問題の解決に力を尽くすのが自然な姿だと思います。





長く西洋の影に隠れてアジアの思想や歴史は軽視されてきましたが、現代の問題を解決するためには、普遍的精神を持つ宗教者が主導し、人類が強い家族的意識で結ばれる世界をつくらなければなりません。





日本は家族、集団を尊重する思想を持ちます。また宗教に寛容で、仏教と神道を融合させ、儒教と仏教をおなじく奨励し融和を進めました。このような歴史をもつ我が国は、平和創出の精神的土壌を具えているといえます。島嶼独立国家の本領を発揮すれば、世界平和実現に貢献できるのです。





最後に、トランプ大統領は、反グローバリズムを訴える一方、キリスト教のプロテスタントを基盤とし、今や、アメリカのプロテスタント・福音派は力強く復興しています。日本も、宗教者が反グローバリズムに目覚め、保守勢力を糾合し、国民が、皇室を中心に家庭的連帯意識をもって、反共産主義、反グローバリズムの運動を積極的に推進すべきです。     (永田)




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